2011

この年までベトナムや上海で仕事の紹介があると赴き、それが終わるとしばらくタイに来る、という生活を続けていたが、それを続けていても仕方がないので、2011年の3月にタイに移ってしまうことを決めた。ちょうど東日本の震災がある前のことだった。

どうやって生きていくのか、考えがあったわけでもなくやってきたので、まずはタイ語の勉強を一生懸命やった。タイ語ができれば通訳や翻訳として仕事が見つかるかもしれないし、何よりタイに住むのにタイ語が使えなければ話にならないと考えた。

タイ語が少しずつ分かってくるようになると、これくらいになれば飯屋で注文取るくらいの仕事ならやとってもらえるかな、とかバンコクでは多く見られる看板屋や額縁屋なら自分に向いているんじゃないか、とか考えながらタイでの自分を少しずつこの場所になじませていった。2019年12月現在、まさかウェブ制作の会社をはじめて、小さいながらも自分の居心地の良い事務所を構えて、こんな生活をするなどは想像もしていなかったし、当たり前だが先のことなんて誰にも何も分からない。だから考えても仕方がないし、やりたいことをやりたいように自由に生きるのが一番上手な生き方なんだろうなと改めて思う。

タイに移る前までは、絵で何かをすることにすがっていたが、移ってくると新しい生活に忙しくて絵との距離が遠くなった。やめてしまう勇気はなかったが、どういう付き合い方をしていくのが良いのか答えが見つからず悶々とした。しかし、タイへ移ってくる前の作品は、やっていた方向性のものとしては最高のもので、納得のいく終わりになったと感じている。

2011年のアヌサワリーにて
2011年のアヌサワリーにて
2011年のアヌサワリーにて2011年のアヌサワリーにて
当時のBIG ISSUEに掲載してもらった、この路線の最高の2作品
バンコクのイカしたストリートアート
バンコクのイカしたストリートアート
バンコクの子供のイカした絵
バンコクの子供のイカした絵