2016

この年の1月から絵画のレッスンに通うことにした。 楽しかった。

幼い頃からどういう訳か絵を描くのが好きで、得意だったが、美大に通う道を通らずにいたので、コンプレックスがあった。 長い間気にかかっていたが、バンコクで調べてみると『アカデミックに絵画を教えます』というサイトを見つけて、それが家の近くだったものですぐに申し込みに行った。

これまで自分でもデッサンやスケッチをしていたが、少し考え方が違った。話を聞いて実践していると、絵を描くというよりは、設計図を描くようなものだな、というのが最初に感じたものだった。目の前にあるものを紙の上に移す。長さを計って、対象物が複数であれば、その距離にも狂いがでてはいけない。技術の習得なので、やり方が分かれば、他の多くのことと同じ様に誰でもある程度のところまでは上手にデッサンをすることができる。

ある程度のところからは枚数を重ねる毎に、ある程度のところから上にあがっていく。そこにはテクニックや方法論みたいなものもあるけど、経験も加わってだんだんと熟練してくるのだと思う。

この先生は作品にサインをしない。ボクも昔はサインをしていたが、作品の邪魔になるからサインはしないほうが良いという考えなので、いいなと思った。

表に出て植物を描くレッスンの回には、他の対象と比べてその植物を大きく描きすぎて戸惑っているボクに「いいよ。植物はすぐに大きくなるから」と言葉をかけてくれたり、水の中に浮かべたリンゴを描きながら、最近のテクノロジーの発達によりインスタントイラストレーターやインスタント写真家の話になると、「こんな水に浮かべたリンゴを描きたい人なんて今はいない」とぼやいていた。本質を大事にしたいんだと思う。ボクもそういう考えだから、楽しい時間になった。

これから描く布のセッティングをする先生
これから描く布のセッティングをする先生
これから描く布のセッティングをする先生
デッサンの描き方について最初のレッスンで
これから描く布のセッティングをする先生
写真を見て描いたもの。写真をマス目で区切り、描く紙にも同じ幅のマス目を設ける。互いのマス目を同じ濃さに塗っていく。対象を描くというよりは、画面上の濃度の違いを把握するための訓練